| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-074  (Poster presentation)

ガボン共和国ロペ国立公園におけるマルミミゾウの社会構造にみられる長期的変化【A】
Long-term trends in African forest elephant social structure in Lopé National Park, Gabon【A】

*大坂桃子(京都大学), 山越言(京都大学), 本郷峻(総合地球環境学研究所, 京都大学), 松浦直毅(椙山女学園大学), 西原智昭(FSCジャパン), Katharine ABERNETHY(Stirling Univ.)
*Momoko OSAKA(Kyoto Univ.), Gen YAMAKOSHI(Kyoto Univ.), Shun HONGO(RIHN, Kyoto Univ.), Naoki MATSUURA(Sugiyama Jogakuen Univ.), Tomoaki NISHIHARA(FSC Japan), Katharine ABERNETHY(Stirling Univ.)

野生動物保全において、環境変動が個体群動態に及ぼす影響を定量的に把握することは重要な課題である。しかし、大型哺乳類は世代時間が長く、個体群レベルの変化を検出するには長期にわたるデータの蓄積が不可欠である。
マルミミゾウ Loxodonta cyclotis は、種子散布などを通じてアフリカ熱帯林の維持に寄与するキーストーン種である一方、深刻な絶滅危機に瀕している。果実食性が強い本種にとって、近年アフリカ熱帯林各地で報告されている(気候変動に起因すると考えられる)果実資源の減少は、新たな脅威となりうる。しかし、果実資源の減少がマルミミゾウの個体群動態、とりわけ繁殖にどのような影響を及ぼしているかは十分に明らかになっていない。
本研究では、顕著な果実資源の減少が確認されているガボン共和国ロペ国立公園を対象に、過去40年間におけるマルミミゾウの繁殖指標の長期変化を評価した。繁殖指標として、①成獣メス1頭あたりの未成熟個体数、②群れに占める未成熟個体の割合、の2指標を用い、その推移を検討した。その結果、両指標はいずれも1990年代から2000年代にかけて低下し、2020年代まで低水準で推移した。さらに、果実量と両繁殖指標の間には正の関係がみられた。以上より、果実資源の減少に伴ってマルミミゾウの繁殖状態が悪化している可能性が示唆され、個体群動態への負の影響が懸念される。今後は、果実資源の減少に対する採食生態や空間利用の変化をあわせて検討し、その知見を保全・管理方策へ反映させることが重要である。


日本生態学会