| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-075 (Poster presentation)
コイ目タナゴ亜科の魚類(タナゴ類)は、その多くが環境省版RLにおいて絶滅危惧種に選定されている。タナゴ類の繁殖にとって必要な産卵床となる二枚貝類(以下、イシガイ類)の多くも環境省版RLにおいて絶滅危惧種に選定されているが、イシガイ類の人工的な飼育・繁殖技術は確立されていない。ミナミタガイBeringiana fukuharai(以下、タガイ)では、野外に設置した500L円形水槽と飼育用土に馬糞堆肥と水洗した真砂土を用いて、月2回の攪拌操作を行った条件で安定に生存・成長できているが繁殖に至っていない。この条件では底質の嫌気化抑制のための攪拌操作による稚貝の斃死の可能性や、真砂土の水洗の程度にばらつきが生じて再現性に欠けるという課題があげられている。栽培した植物をすきこむ緑肥を用いることで、土壌の間隙形成により撹拌操作が不要になるとともに、土壌微細粒子の懸濁抑制による課題の解決が見込める。本研究では、さらに栄養の貯留・溶出量の改善および光合成産物の供給などの改善も期待できる緑肥によるタガイの飼育方法を検討した。
最初に夏季に実施した実験1では短期間での水質の悪化とタガイの斃死が確認された。そのため予備飼育環境の見直し、秋季の実験区設置など実験1の課題の改善に加えて、緑肥の変更、緑肥に用いる際の成長段階の見直し、換水操作の導入、タガイの供試個体の削減等の改善を講じ、実験2を実施した。実験2の区画設定は実験1で一定のタガイの生存が確認された緑肥区、緑肥攪拌区、馬糞攪拌区をそれぞれ2反復とした。管理は月1回のタガイの計測と月4回の水質測定を行った。
実験1からの改善措置により、緑肥を用いたものを含め全ての実験区で大幅に水質が改善し、タガイが安定して生存しているとともに、成長も認められている。水質は緑肥を用いた区画でCONDとCa2+が高く推移するなど、実験区間での違いも生じている。