| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-080 (Poster presentation)
カシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」)Platypus quercivorus が媒介する糸状菌 Dryadomyces quercivorus により引き起こされるナラ枯れが問題となっており、低環境負荷かつ持続的に適用可能な防除法の確立が求められている。ヒノキ Chamaecyparis obtusa のウッドチップがカシナガに対して忌避効果を示すことが報告されているが、都市部ではヒノキ材の入手が困難であり、代替樹種の検討が課題である。
本研究では、都市部で庭園樹として植栽されているヒノキ科樹木であるレイランドヒノキ ×Cuprocyparis leylandii 、ブルーエンジェル Juniperus scopulorum ‘Blue Angel’ と、ヒノキの3種のウッドチップによるカシナガ忌避効果を比較した。実験は2024年と25年に国際基督教大学構内および25年には都立野川公園において実施した。カシナガの寄主植物であるコナラ Quercus serrata の樹幹に、不織布性の袋に入れた各ヒノキ科樹木のウッドチップを設置する処理区と無処理の対照区を設け、粘着テープを用いたカシナガ捕獲数を忌避効果の指標として解析した。
全3区のデータを一般化線形混合モデル(GLMM)で解析した結果、レイランドヒノキとブルーエンジェルはヒノキと同等、もしくはそれ以上の忌避効果を示した。このことから、レイランドヒノキおよびブルーエンジェルのウッドチップが、都市部におけるヒノキに代わるナラ枯れの防除資材として利用できることが示唆された。全3区のデータを一緒に解析した場合、ヒノキの忌避効果は統計的に有意ではなかったが、実験区ごとに行った解析では、2024年国際基督教大学構内の実験区のみ、ヒノキの忌避効果が有意とならなかった。ほかの研究結果を加えて総合的に考察すると、ヒノキの忌避効果を否定するものではないと考えられた。