| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-081 (Poster presentation)
ミゾゴイ(Gorsachius goisagi)は,日本で繁殖する夏鳥であり,IUCNレッドリストで絶滅危惧II類に分類されている.本種は近年,個体群規模の再評価が進められているものの,長期的には減少傾向にあると考えられている.しかし,本種の個体群動態を時空間的に評価した事例は限られている.本研究では,自動撮影カメラのデータから動的占有モデルを構築し,調査地の個体群動態を明らかにすることを目的とした.調査は2019年1月から2025年1月までの6年間とした.千葉県房総半島に設置した209台のカメラによって得られたデータから週単位の検出履歴を作成した.初期占有率と絶滅率,また定着率をパラメータとして推定し,動的サイト占有モデルを用いてベイズ推定を行った.解析の結果,調査期間におけるミゾゴイの占有率は増加しており,分布の拡大も見られた.また,絶滅率は高い確率で推移していた.本研究結果から,ミゾゴイの生息地利用動態を定量評価することができた.ミゾゴイは縄張り性を持つため,占有率と個体数が相関すると仮定できる.すなわち,近年のミゾゴイ個体数は(従来の認識とは対照的に)増加している可能性を示唆している.また,高い絶滅率と占有率から,本種はサイトへの回帰性が低く,営巣地を毎年のように変えている可能性も考えられる.本研究は自動撮影カメラを用いて,調査地における近年のミゾゴイ個体数推移を明らかにしたものであり,本種の効果的な保全施策の検討に重要な知見を提供する.