| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-082 (Poster presentation)
カエル類は外温動物であり、生存や活動に周囲の気温や乾燥の程度などの微気候に強く影響を受ける。そのため、気温や湿度の日内・季節的変動に対し、生理的な制約から微気候条件が異なる場所を使い分けることが予想される。しかし、非繫殖期のカエル類の時間・空間的な出現分布と微気候の関係には不明な点が多い。そこで本研究では、植生や地形、微気候の不均質性が高い谷津景観において、カエル類の出現分布と微気候の関係を明らかにすることを目的に調査を行った。
調査は千葉県北部の3か所の谷津で7〜10月の期間に各6回ずつ行った。谷津は関東地方に多い谷地形で、湿地・水田、斜面林、草地といった環境を含む。各調査地は5〜6種のカエル類が生息している。斜面林や湿地、台地などの多様な環境を踏査し、カエル類が出現した際に種名、個体数、発育段階および出現地点を記録した。さらに、微気候の定量化のためにデータロガーを携行し、地表付近の気温および湿度を1分間隔で連続して測定した。
各調査地において、谷津内の樹林や低地などの植生や地形が異なる環境間で、季節によって温度・湿度ともに明確な差が認められた。また、ニホンアカガエルは谷津内の様々な環境で出現し、ヌマガエルは主に谷底低地の限られた環境でよく出現するなど、種間で利用する環境に差が見られた。谷津景観におけるカエル類の微気候と関連した環境利用を明らかにすることは、谷津の正確な評価、より効果的なカエル類の保全につながると考えられる。今後は、微気候や植生などの空間的不均質性をより高い解像度で把握し、カエル類各種の出現を規定する要因との対応関係を調査する。