| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-086  (Poster presentation)

太陽光発電施設の管理手法の違いが生物群集に与える影響【A】
The impact of different management methods on solar power plant on biological communities【A】

*黒羽秀磨(千葉大学)
*Shuma KUROHA(Chiba University)

カーボンニュートラルの達成に向け世界的に太陽光発電施設が急増する一方,生物多様性への影響が懸念されている.研究事例は北米・欧州北部・中国北部など寒冷または乾燥地域に偏り,温暖・湿潤なアジア・モンスーン地域では知見が不足し,太陽光発電と生物多様性が両立するモデルは確立されていない.当該地域の発電施設では排水設計と雑草管理が重要な課題のため,本研究では排水設計(研究1)と雑草管理の違い(研究2)が施設内の植物の多様性に与える影響を定量化した.研究1では,施設内に貯水するオンサイト型と調整池に貯水するオフサイト型の施設を比較し,オンサイト型では湛水エリアと非湛水エリアが生まれることで異なる植生が出現すると予想した.加えてパネルの有無による植生の違いも調査した.研究2では吹付け+草刈り,草刈り,除草剤散布の3種類の雑草管理手法が植物の多様性に与える影響を比較した.
研究1では宮城県気仙沼市(オンサイト型)・静岡県御殿場市(オフサイト型)の施設にて各40プロットのコドラート調査(1m×1m)を行い,植生を比較した.研究2では宮城県気仙沼市,静岡県御殿場市,三重県鳥羽市の3サイトで実験区を設定し,2025年春・秋に調査を実施した(三重サイトは造成直後のため春期データなし).3処理×2反復×10地点の計60プロットでコドラート調査を行い,α多様性とβ多様性を比較した.
研究1の結果,オンサイト型では湛水エリアと非湛水エリア,パネルの有無で植物群集が異なり,湿性草原が出現した.オフサイト型ではパネルの有無で群集が異なった.またパネル下ではシダ類が優占していた.研究2の結果,α多様性では3つの処理区に有意な差は見られなかったが,β多様性では多くのサイト・時期で,草刈り処理で高かった.但し三重サイトのみ吹付け処理のβ多様性が最も高く,造成直後では吹付け処理が早期の植生定着を促し,多様性の創出に有用であることが示唆された.


日本生態学会