| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-095  (Poster presentation)

シロツメクサの都市進化は土壌細菌群集に影響を与えるのか:土壌RNAを用いた解析【A】
Soil RNA reveals how urban evolution of white clover influence soil bacterial community【A】

*中目凜, 内海俊介(北海道大学)
*Rin NAKANOME, Shunsuke UTSUMI(Hokkaido Univ.)

都市化は生物多様性や生態系機能に重大な影響を与える。その一つに生物相の均質化があり、郊外に比べて都市部の局所群集のβ多様性が著しく小さくなる。この現象は地上生態系で主に報告されてきたが、土壌微生物叢においても同様に均質化が報告され始めた。このような微生物叢の均質化について、従来の研究は非生物的環境要因に着目してきた。しかし、土壌微生物叢の形成には植物も大きな役割を果たし、それには二次代謝物質などの形質が寄与している。そして、都市化は植物形質の進化を促進するため、この都市進化が土壌微生物叢の均質化に関与している可能性が考えられるが、その影響はこれまで見過ごされてきた。
シロツメクサは、都市環境への適応においてシアン配糖体を喪失する進化を遂げている。本研究は、都市化による土壌微生物叢の構造・機能的均質化の実態と、それに対してシロツメクサの都市進化が果たす役割を解明することを目的とする。
都市部から郊外部の30サイトで、シロツメクサ根圏土壌と裸地土壌を採取した。まず、土壌化学特性を調べるためにpHと無機態窒素を調べた。そして、活性のある微生物の群集構造と機能を捉えるため、土壌からRNAを抽出し、メタバーコーディングとメタトランスクリプトーム解析を行った。
土壌化学特性において都市と郊外で有意な違いは検出されず、分散も異なっていなかった。しかし、微生物叢において都市化に伴う顕著な均質化が見出された。 第一に構造的側面である。都市部は、郊外部に比べて地点間の種組成が均質化していることが判明した。第二に機能的側面である。都市部では発現パターンが互いに酷似していることが判明した。特に、郊外では裸地土壌と根圏土壌は異なる機能を示し、分散も大きかったが、都市においては根圏土壌と裸地土壌では収束し、分散も小さくなった。都市において、シロツメクサは、微生物叢に対する特異的な影響力を失っていると考えられる。


日本生態学会