| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-098  (Poster presentation)

佐渡島達者沖と真野湾の砂底における底生生物相の比較【A】
Comparison of benthic fauna at the sandy bottoms of off Tassha and Mano Bay, Sado Island【A】

*長谷川蓮, 大森紹仁(新潟大学)
*Ren HASEGAWA, Akihito OMORI(Niigata Univ.)

 水底に生息する底生生物は海洋環境の変化の影響を受けやすいとされ、海洋環境とその長期的変動の把握、及びその保全には、底生生物相の解明・観測が有用であるといえる。本研究では、佐渡島西部の達者沖と真野湾を対象に、知見の少ない体長2 mm程度以下の小型底生生物を含めた底生生物相の解明を目的とした調査を行った。
  2023年5月から2025年10月にかけて、佐渡島西部の達者沖の水深約50-80 mに計13測点、真野湾内の水深約10-40 mに計8測点、真野湾北部沢根海岸の水深約1 mに近接した2測点をそれぞれ設定し、各種環境要因の計測と採泥器を用いた底生生物の定量調査を行った。沢根海岸では、各測点について異なる月に数回調査を行った。底生生物の選別には目合い2 mmと0.5 mmの篩と網を用い、得られた全生物の同定と個体数計測を行った。得られた結果をもとに、各測点の生物群集の特徴の把握とその比較のための統計解析を行った。
  採集された底生生物は、全測点を合わせて計7門、160 OTU、817個体であった。採集されたOTU数と多様度指数は測点によって様々であった。各測点の底生生物群集はその類似度から大きく3つのグループに分けられ、それぞれのグループで異なる指標OTUが抽出された。このうち、真野湾の一部測点と沢根海岸の全測点からなるグループ1は、水深が浅く、塩分や溶存酸素量が小さいなどの環境的特徴をもち、達者沖の一部測点からなるグループ2では、底質の粒径が粗い特徴があった。さらに、沢根海岸においては、生物群集構造の違いが調査月間よりも測点間で大きかった。
 本研究により、佐渡島西部の浅海の砂底における小型生物を含めた底生生物相の一端が初めて明らかになった。また、当該海域の砂底には、同一地域内でも生物群集構造の異なる多様な微小環境が存在する可能性が示唆された。今後の更なる調査により、佐渡島全体の砂底の環境と底生生物相が広く解明され、その保全に貢献することが期待される。


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