| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-113  (Poster presentation)

年変動から見た海水魚類の腸内細菌叢における多様性と宿主依存性【A】
Diversity and Host Dependence in the Gut Microbiota of Marine Fish from an Annual Variation Perspective【A】

*藤野雅也, 藤田博昭, 東樹宏和(京都大学)
*Masaya FUJINO, Hiroaki FUJITA, Hirokazu TOJU(Kyoto University)

動物の腸内には腸内細菌が存在し、宿主と共生関係を築いている。生活史が水中である魚類の腸内細菌叢は他の陸上動物とは大きく構成が異なることが知られている。例えば、哺乳動物で病原性を示すことで知られるMycoplasma属細菌はサケ科魚類で腸内細菌叢の6割以上を占めることが観察されており、共生関係を築いている可能性が高いと考えられている。
特定の魚種では腸内細菌叢が盛んに研究されている一方、全体を見通した研究はまだ少ない。魚種内における腸内細菌叢の多様性や、同地点間での他種との比較などが議論されておらず、魚類の腸内細菌叢の構成要因に対して知見が不足している。そのため本研究では、腸内細菌叢がどのように構成されるのかという疑問に対して、同所的に生息する海水魚の腸内細菌叢に対して、網羅的なアンプリコン解析を行い解決を試みた。
福井県の若狭湾に面した漁港でサンプリングを行い、得られた31種220個体のサンプル魚の腸内細菌叢をアンプリコン解析にて比較した。その結果、腸内細菌叢は魚種ごとにまとまる傾向が見られた。さらに、魚種内でも構成パターンの違いが観察された。
さらに、PERMANOVA解析を用い、食性、魚種、採取場所、採取月の4つの要因のうち最も腸内細菌叢の構成を説明するものを明らかにした。4つの要因のうち、食性が最も強い説明力を示した。本研究において同所的に生息する魚類の腸内細菌叢構成は食性により最も説明されることが示された。


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