| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-117 (Poster presentation)
世界中に分布する多肉の一年生草本のスベリヒユ(Portulaca oleracea L.)は、種子のサイズや表面形態、倍数性に基づいて区別される19の分類群(ここでは形態型として扱う)からなる種複合体、スベリヒユ複合体(P. oleracea complex)とされている。日本においては、1991以前の調査から3つの形態型(granulatostellulata型、stellata型、trituberculata型)の分布が知られている。既存の分子系統研究から、スベリヒユ複合体は非単系統群であることが知られている一方で、日本産スベリヒユの系統的位置は十分に知られていない。本調査では、近畿地方を主に西日本産の216個体の種子を計測し、種子形態を実体顕微鏡や電子顕微鏡で観察した。次に、見られた全形態型を含む46個体について、核ITSと葉緑体3領域での遺伝子座の塩基配列を決定し、GenBankから取得したスベリヒユ複合体や近縁種の既存配列と合わせて、近隣結合法で分子系統樹を作成した。結果として、日本初報告の3つ(africana型、nitida型、papillatostellulata型)を含む5つの形態型(africana型、granulatostellulata型、nitida型、papillatostellulata型、stellata型)が見られた。5つの形態型は全て同一クレードに属したが、形態型間の詳細な系統関係は判明しなかった。得られた結果から形態型識別の検索表を作成し、分類学的扱いを提案した。今後の研究としては、より広範囲からのサンプリング、染色体観察による倍数性の検証、詳細な系統解析、栽培実験等による形態型の遺伝の検証が求められる。