| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-120  (Poster presentation)

生物群集と系統関係に基づく栽培最適種の予測【A】
Prediction of optimal cultivated species based on biotic communities and phylogenetic relationship【A】

*清原涼平, 小西晴人, 大久保織, 福谷匠哉(関西学院大学)
*Ryohei KIYOHARA, Haruto KONISHI, Shiki OKUBO, Takuya FUKUTANI(Kwansei Gakuin Univ.)

日本において、イネは最大の作付面積を占める基幹作物であり、栽培できる環境を広げるために、人為選択により様々な品種の育種が行われてきた。品種の栽培適地は各地域の気候、土壌、水文条件といった環境特性に強く依存している。農業現場における品種選択は、その土地での安定した生育を前提とした人間側の最適化の結果である。一方で、生物群集もまた、同一の環境基盤の上に長年かけて形成されてきた。
 その土地における栽培最適品種の予測は、経験則に基づく品種選択を、土地の環境特性に基づいた客観的な品種選択に置き換える試みである。生物群集は、その土地の環境要因を包括的に反映し、突発的な環境変動に対して即時的な応答を示す。それゆえ、土地の本質を反映し、環境変数の代替変数として有用であると考えられる。
本研究の目的は、生物群集からその土地に真に適合する栽培最適品種を予測するモデルの構築である。本発表では、地域で最も広く栽培されている品種は、長い時間をかけて環境適合性の観点から選ばれた暫定的な最適解であると見なし、これを正解ラベルとして、その地域の生物群集によって学習させた。本研究では生物群集からその地域の最栽培品種を予測できるかを検討する。さらに、予測結果に品種の系統的類似性を考慮することで、代替的な栽培最適品種の探索手法についても提案する。
GBIF (Global Biodiversity Information Facility) から植物、昆虫、哺乳類、鳥類、両生類、腹足類、菌類の群集記録を取得し、地域ごとに属の在不在、属多様性、機能群組成を抽出した。これらを特徴量として機械学習モデルを構築した結果、全ての群集指標において有意な正解率が得られ、生物群集が最栽培品種の予測に寄与することが示唆された。また、近傍探索を用いて、予測された品種と近縁の品種を系統関係に基づき探索した。今後は、今回構築したモデルを基盤に、解像度の高いデータを用いることで、迅速な品種転換を支援する手法を確立する。


日本生態学会