| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-124 (Poster presentation)
森林生態系において、微地形・斜面方位・林冠木の生活型は、土壌環境の空間的不均一性を生み出し、土壌動物の群集構造を規定する。ササラダニ類やトビムシ類などの一次分解者については環境応答が詳しく調べられてきたが、その捕食者への知見は乏しい。アリヅカムシは落葉層で一次分解者を捕食する微小甲虫群であるが、群集構造と環境応答はほとんど未解明である。本研究では、暖温帯二次林において微地形・方位・林冠木生活型がアリヅカムシの群集構造に及ぼす影響を検証するとともに、その効果が直接的か餌資源量を介した間接的なものかを検討した。
関東地方の多摩丘陵に位置する、針葉樹人工林を一部含む落葉広葉樹二次林(東京農工大FM多摩丘陵)に設置された1 haプロットにおいて、5環境タイプ(尾根、南・北斜面落葉樹林、北斜面針葉樹林、谷)各6地点で、2025年5・8・10月にリターを採取した。ツルグレン法でアリヅカムシおよびササラダニ・トビムシを抽出した。種数・個体数をGLMM、種組成をPERMANOVAで解析した。広葉樹優占度・リター分解速度・餌資源量(ササラダニ・トビムシのバイオマス)がアリヅカムシ群集に及ぼす直接・間接効果を構造方程式モデリング(SEM)で検証した。
アリヅカムシ(14種687個体)の種数・個体数はともに針葉樹林で多く、微地形では谷>斜面>尾根の順に減少した。斜面方位の効果は無かった。種組成も生活型・微地形に沿った分化を示した。SEMでは広葉樹優占度が種数・個体数に強い負の直接効果を示す一方、リター分解速度を介した間接効果は有意でなかった。餌資源量を追加してもAICは改善せず、ボトムアップ制御の寄与は限定的であった。以上より、捕食性土壌動物の群集構造は、餌資源量よりも、針葉樹リターが形成する厚いリター層の物理的構造や土壌水分条件など、微小生息場所の質に規定されることが示唆された。