| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-127 (Poster presentation)
ハナバチは仔の餌として花粉を利用する。花粉の栄養は、仔の生育に影響を与える。また、花粉源となる植物種の多様性も、仔の餌の量や質に影響する。日本でリンゴの花粉媒介に利用されているハナバチであるマメコバチ,Osmia cornifrons,やツツハナバチ,Osmia taurus,は、園地での個体群減少が農業現場で報告されており、両種に関する基礎的知見の解明が急務となっている。両種では、花粉貯蔵の方法や出現時期などに生態的な違いがみられるため、主要な利用餌資源が異なる可能性がある。しかしながら、ツツハナバチの基礎生態を扱った研究は少ない。そこで本種の利用餌資源植物と花粉栄養の解明を目的とした。2024年と2025年に福島県と長野県、千葉県で4月から6月に開花植物調査と貯蔵花粉の採集を行なった。また、東京都の玉川大学から2021年と2024年のツツハナバチの貯蔵花粉の提供を受けた。貯蔵花粉にDNAメタバーコーディングを行ない、花粉源となった植物を同定するとともに、凍結乾燥後、タンパク質濃度と不飽和脂肪酸濃度からPL比(タンパク質/脂質の比)を算出した。その結果、調査地では合計105属の植物の開花を確認した。育房あたりの収集された植物花粉の平均属数は、ツツハナバチが2.74属、マメコバチが3.75属でツツハナバチがマメコバチよりも少なかった。ツツハナバチではいずれの年・調査地でもコナラ属のリード数の割合が最も多かった。マメコバチでは、バラ科やマメ科の植物がリード数上位にあった。ツツハナバチでは、貯蔵花粉のタンパク質濃度と脂質濃度は高く、PL比は低い傾向となった。ツツハナバチは栄養濃度が高いがPL比は劣るコナラ属やクルミ属を選好していると考えられる。