| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-139 (Poster presentation)
変形菌は土壌生態系において主要な微生物捕食者としての機能を有し、林床において肉眼で観察可能な子実体を形成する。変形菌の子実体の標本記録に基づく分布調査は、変形菌の広域的な分布パターンがpHといった環境因子の影響を受けることを明らかにしてきた。しかしながら、子実体記録に基づく調査は変形菌の生活環全体を対象とした評価ではなく、土壌中で微生物捕食者としての機能を果たす栄養段階の分布構造については知見が不足している。肉眼での観察が不可能な土壌中に存在する変形菌の分布評価には、一般に環境DNAを対象としたメタバーコーディングが用いられる。一方で変形菌のゲノムが持つ系統的多様性により、環境配列に基づく包括的な評価は達成されてこなかった。
そこで本研究では技術的ギャップを埋めるため、土壌変形菌を対象としたDNAメタバーコーディング手法の最適化を行った。その上で本手法を東北大学川渡フィールドセンター内に設置した50×100mプロットの土壌サンプルに対して適用することで、包括的に土壌変形菌群集の空間分布を評価した。先行研究に基づき選定した4つのプライマーセットによる予備実験の結果、土壌サンプルから6科16属の変形菌を検出した。
本発表では得られた変形菌群集の空間構造から形成要因や種間差に起因する分布特性が局所スケールにおける物質循環へ与える影響について議論したい。