| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-141  (Poster presentation)

ミズナラ林における萌芽更新初期の土壌微生物群集の変化【A】
Changes in soil microbial communities during the early stage of sprout regeneration in Quercus crispula forest【A】

*久保菜帆子(京都大学 農学研究科), 大上迪士(京都大学 農学研究科), 杉山賢子(京都大学 FSERC), 松岡俊将(京都大学 FSERC), 舘野隆之輔(京都大学 FSERC)
*Nahoko KUBO(Kyoto Univ. Agriculture), Tadashi OKAMI(Kyoto Univ. Agriculture), Yoriko SUGIYAMA(Kyoto Univ. FSERC), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto Univ. FSERC), Ryunosuke TATENO(Kyoto Univ. FSERC)

 森林生態系では、光合成で固定された炭素が地下部へ供給され、特に根圏土壌では根滲出物による根圏効果で、微生物活性や群集組成が非根圏土壌と異なることが知られる。また、外生菌根菌(ECM)は樹木と共生し、炭素と土壌栄養塩を交換する役割を担い、根圏微生物群集を特徴づける重要な存在である。このようにECM、その他の真菌、細菌群集が樹木からの炭素供給の影響を直接的・間接的に受けながら相互に作用し、森林内の炭素・窒素循環を駆動している。これまで伐採や環状剝皮など地上部からの炭素供給の遮断により、土壌微生物群集の多様性や組成が変化することが示されてきた。しかし、伐採後の萌芽更新過程において、根、根圏、非根圏における微生物群集の変化を体系的に検証した研究はない。
 本研究は、ECM樹種の萌芽更新初期過程(伐採前から伐採1年後)において、根、根圏、非根圏におけるECM、それ以外の真菌、細菌群集の経時変化に着目し、伐採がECM群集を変化させ、その変化が他の微生物群集へ波及するという仮説の検証を目的として行った。北海道東部の同齢ミズナラ林において、伐採と対照個体を各9個体選定し、伐採前、伐採直後、伐採1年後にサンプリングを行った。根、根圏土壌、非根圏土壌からDNAを抽出し、真菌および細菌を対象としたメタバーコーディング解析を行い、さらに機能群データベースによりECMを抽出した。
 その結果、ECM群集は伐採後も根・根圏・非根圏で大きな違いは見られなかったが、樹木の生育場所の違いに強く規定されていた。ECM以外の真菌および細菌群集は伐採の影響よりも根圏土壌、非根圏土壌の違いによって特徴づけられた。以上より、萌芽再生樹種においては、伐採によるECM群集の変化が周辺の微生物群集へ波及する可能性は低く、ECM群集が維持されることで、伐採後の樹木の養分獲得や初期成長に貢献していることが示唆された。


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