| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-142  (Poster presentation)

ヨシのバイオフィルムによるアオコ抑制効果の変動要因【A】
Factors affecting the cyanobacterial growth inhibition by reed biofilm【A】

*吉本蘭(兵庫県立大学), 岡野邦宏(秋田県立大学), 横山陽一(兵庫県立大学), 風間健宏(兵庫県立大学)
*Ran YOSHIMOTO(University of Hyogo), Kunihiro OKANO(Akita Prefectural University), Yoichi YOKOYAMA(University of Hyogo), Takehiro KAZAMA(University of Hyogo)

ため池でのアオコの発生は、利水障害や水生生物の死滅の原因となる。従来の曝気循環や薬剤散布などの対策は、コストや環境負荷の課題がある。近年、環境に配慮されたアオコ対策として、ヨシ(Phragmites australis)のバイオフィルム(BF)内の細菌によるアオコ原因種Microcystis aeruginosaの増殖抑制効果が報告されている。一方で、BFによるアオコ抑制効果は、BF群集構造の変化により、時空間的に変動する可能性がある。本研究では、ヨシBFによるアオコ抑制効果の時空間変動とその要因の解明を目的とし、培養実験を行った。前年までにアオコが未発生の新池・寺田池および発生池である小鳥喰池・下池・玉野の池を調査対象とした。6~9月に各池で採集したBFからBF懸濁液を作成した。MA培地にM. aeruginosaとBF懸濁液を添加し、n=4、現場水温、光強度100 μmol photon/m2/s、L:D = 12:12の条件下で4〜7日間培養した。クロロフィル蛍光装置を用いて、最大蛍光から細胞密度、最大量子収率から光化学系Ⅱの状態を評価した。また、細菌叢解析のため、0.2 µm 孔径のフィルターでBF懸濁液内の細菌を捕集し、細菌DNAを抽出・精製した。16S rRNA(515F/806R)を対象に2-step Tailed PCR法でライブラリーを作成し、ライブラリーは、Illumina MiSeq Sequencerを用いて次世代シーケンシングを行った。得られた配列から、類似度97%を基準としてOTU解析を行った。
実験の結果、抑制効果の大きさは池間・実験月間で大きく異なり、下池および玉野の池のみ、9月の実験において細胞密度の有意な減少が見られた。一方、これらの池間では、細菌叢構造は大きく異なっていた。発表では、BFのアオコ抑制メカニズムや細菌叢構造の時空間的な変動要因について議論する。


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