| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-143 (Poster presentation)
オオバヤシャブシ(Alnus sieboldiana)は、東北地方南部から近畿地方に生育するカバノキ科ハンノキ属の落葉小高木である。ハンノキ属の樹木は春以降も継続的に葉を展開し、段階的に落葉するため、齢の異なる葉が混在するという特徴的な葉フェノロジーを示す。葉フェノロジーは、葉に共生する内生菌群集にも影響を及ぼすことが知られているが、本種を対象とした報告はほとんどない。
本研究では、オオバヤシャブシの葉フェノロジーの記載、およびオオバヤシャブシの葉から分離した内生菌の季節と葉齢に伴う分離頻度の変化を明らかにすることを目的とした。同志社大学京田辺キャンパス内に植栽されたオオバヤシャブシの葉の展開数および落葉数を定期的に記録した。また、異なる時期に異なる葉齢の葉を採取し、内生菌の分離培養および同定を行った。
葉フェノロジーの観察の結果、葉は4月上旬から11月下旬まで展開し、着葉数は7月中旬に最多となった。落葉は5月下旬から始まり、夏季および晩秋に落葉量が増加した。頻出菌であるPhyllosticta sp.、Colletotrichum sp.、Botryosphaeria dothidea、Nigrospora oryzae、Nigrospora sphaerica、Digitodochium sp.の分離頻度は、季節によって有意に変化した。Phyllosticta sp.およびDigitodochium sp.は、葉齢によっても分離頻度が変化した。この結果から、季節および葉齢に伴う分離頻度の変化には、葉への感染源となる気中胞子の定着時期およびハビタート特性の変化が関与している可能性が示唆された。