| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-146  (Poster presentation)

冷温帯に位置する源流域における河川水中の真菌群集の季節・空間変動【A】
Seasonal and Spatial Variations of Fungal Communities in Stream Water of Cool-Temperate Headwaters【A】

*大上迪士(京都大学・農学研究科), 横部智浩(京都大学・FSERC), 松岡俊将(京都大学・FSERC), 舘野隆之輔(京都大学・FSERC)
*Tadashi OKAMI(Kyoto Univ. Agriculture), Tomohiro YOKOBE(Kyoto Univ. FSERC), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto Univ. FSERC), Ryunosuke TATENO(Kyoto Univ. FSERC)

河川生態系において真菌群集は物質循環に重要な役割を果たしており、その時空間的な変動を解明することは物質循環の環境応答を理解するうえで重要である。河川は上流から下流にかけて縦断方向に環境が変動し、加えて周囲の植生の影響(リター供給など)や流量の季節変動の影響も受けることから、河川水中の真菌群集は時空間的に複雑な変動パターンを示すと考えられる。本研究では、源流域の河川水中の真菌群集を対象に、季節および河川の縦断方向に沿った変動を明らかにするとともに、特に水中の細菌研究で行われている孔径の異なるフィルターを用いてサイズを分画することで、サイズ画分の違いが群集組成に及ぼす影響を評価した。
調査は、京都府北東部に位置する京都大学芦生研究林で行った。落葉広葉樹とスギが優占する冷温帯林内の、河川次数が1~5次の河川を調査地点とし、3季節(5月、7月、10月)で調査を行った。孔径3.0 μm(大画分)と0.22 μm(小画分)のフィルターで河川水を連続的にろ過し、それぞれの画分のフィルターからDNAを抽出し、メタバーコーディング解析により真菌の群集組成を調査した。
群集組成はまず、季節によって異なった。季節ごとに、群集の空間や画分のパターンが異なるのかを評価したところ、すべての季節において画分間で群集組成が異なり、その程度は季節によって変化した。大画分では、すべての季節で上流ほどサイト間の群集組成の類似度が低く、下流ほど高い傾向がみられた。一方、小画分ではこの傾向が季節によって逆転した。以上より、河川水中の真菌の群集組成は季節、画分、河川の縦断的位置によって変化し、分画の影響の強さは季節によって変動すること、さらに河川の縦断的変動は画分と季節によって異なる応答を示すことが明らかとなった。


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