| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-149 (Poster presentation)
高濃度の重金属を含有する調査地において、ススキは優占種として自生しており、根から新種の内生菌Aquapteridospora sp.が高頻度に分離された。調査地土壌を用いて接種試験を行った結果、一般的な気温条件(昼/夜:25℃/20℃)では、接種区と対照区でススキ実生の生長や重金属耐性に有意な差は確認されなかった一方で、調査地の地温を模した条件(昼/夜:31℃/21℃)では、Aquapteridospora sp.による生長促進及び重金属耐性の増強が確認された。このことから、Aquapteridospora sp.は調査地の重金属・地温条件においてススキ実生の生長及び重金属耐性の増強に寄与する化合物を産生する可能性が考えられた。Aquapteridospora sp.はメラニン化された菌糸を有する内生菌(DSE)の一種であり、DSEは、indole-3-acetic acid(IAA)の産生による宿主植物の生長促進や、重金属吸着能及び抗酸化能を有するメラニンの産生による重金属耐性の増強などが報告されている。調査地の地温を参考にした高温条件(30℃)及び通常条件(20℃)を設定し、Aquapteridospora sp.を培養した結果、IAA様化合物及びIAAに関連する複数のトリプトファン代謝物の産生量が、通常条件と比較して高温条件で増加した。また、メラニンについても同様に高温条件で産生量の増加が確認された。重金属条件については、Fe(調査地土壌及びススキの根に最も高濃度に含まれる重金属)を添加した培地でAquapteridospora sp.を培養しており、調査地の主要な重金属であるFeがAquapteridospora sp.のトリプトファン代謝物及びメラニンの産生に与える影響について考察する。