| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-152 (Poster presentation)
調査地である鉱山跡地では土壌中に高濃度の重金属が残存しており, 植物にストレスを与えやすい環境となっている. 本研究の対象植物であるミゾソバは調査地の沼に生育する湿生植物である. 各種分析の結果, 本植物は生根及び枯死根において高濃度のFeを蓄積していることが確認され, 1) 生根でのphenol性化合物の産生によるFe毒性軽減, 及び 2) 枯死根でのFe蓄積による体外へのFe排出, によるFe耐性を有していると考えられた. また, 根に生息する内生細菌は金属元素と錯体形成するsiderophoreを産生し, 宿主植物の金属耐性を増強させることが報告されている. 以上より本研究では, 根に生息する内生細菌のsiderophore産生能を評価することで, 本植物のFe耐性の増強に内生細菌が関与しているのかを明らかにすることとした. 2021年6–10月に調査地に生育する本植物の生根から分離した内生細菌の中には, siderophore産生能を有するものが年間を通じて確認された. また, 現地観察により本植物において成長期である8月に枯死根が多く確認された. 生根においてsiderophoreを産生する内生細菌が本植物のFe耐性の増強に寄与すると仮定すると, 生根と枯死根に生息する内生細菌のsiderophore産生能は異なる可能性が考えられた. そこで, 2023年8月の最も枯死根の多い時に生根及び枯死根から分離した内生細菌のsiderophore産生能を比較したところ, siderophore産生能を示した内生細菌の割合は枯死根に比べて生根で高いことが明らかとなり, 8月の生根の維持に内生細菌が寄与していると示唆された. 現在, 生根より分離され高いsiderophore産生能を示した内生細菌Herbaspirillum huttienseを, 滅菌実生へ接種する試験を実施中である.