| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-155 (Poster presentation)
都市化は地球規模で進行する劇的な環境改変プロセスである。都市化が生物に対して強力な選択圧として作用することで、短期間のうちに生物の形質進化を促進する都市進化が近年広く知られるようになった。一方で、既往研究の多くは単一種を対象に、特異的な形質の進化に着目しており、都市の進化的作用の一般性への理解は乏しい。都市環境が有する一貫した特性を考えれば、異なる系統の生物に対して収斂的な適応進化を促進する可能性が考えられる。しかし、複数種からなる群集レベルでの収斂的な応答の実態は未解明である。そこで本研究では、都市環境に対する複数種の草本植物の収斂的な機能形質の応答の実態を明らかにすることを目的とした。特に、1)複数種の草本において都市部で表現型レベルの機能形質の収斂的な応答がみられるか?2)機能形質の収斂的な応答が認められる場合、それは遺伝的な進化応答か?という2つの問いを検証する。
3科5種の草本(セイヨウタンポポ、ブタナ、ムラサキツメクサ、オオバコ、ヘラオオバコ)を対象とした。まず、野外調査として、札幌市近郊の都市部と郊外部の30地点で合計801個体を得た。その全個体について、地上部と地下部の機能形質測定を行った。次に、形質変異の遺伝基盤を検証するために、4種について都市部と郊外部で採取した種子を用いた共通圃場実験を実施した。ここでは計790個体について、野外調査と同様の項目について各種機能形質値の測定を行った。
その結果、科をまたいで共通の進化があることが分かった。圃場実験では、種間で共通して、都市個体で葉面積、葉湿重量、葉乾重量が約30%増大しており、成長力が高くなっていた。また、野外でも圃場でも、都市個体は葉の構造的な投資及び資源利用戦略において、系統を越えて耐久性を高める方向へシフトしていた。本研究は、都市化が植物の成長と資源分配様式を系統を越えて同じ方向へ変容させていることを明らかにした。