| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-163  (Poster presentation)

UAV空撮画像を用いた積雪深と高山植生の現在と将来の分布予測:立山における事例【A】
UAV Photogrammetry and HSM Predict Current and Future Distributions of Snow Depth and Alpine Vegetation: A Case Study in Tateyama Mountains【A】

*峯村友都(富山大学大学院), Sudipayan BHATTACHARYYA(富山大学大学院), 甲山哲生(東京大学), 工藤岳(北海道大学), 和田直也(富山大学 GRASS)
*Yuto MINEMURA(Grad Univ. Toyama), Sudipayan BHATTACHARYYA(Grad Univ. Toyama), Tetsuo KOHYAMA(UTokyo), Gaku KUDO(Hokkaido Univ.), Naoya WADA(GRASS Univ. Toyama)

 地形と積雪が作り出す環境は高山植物の分布に強い影響を与えている。気候変動は降雪量の減少や雪解け時期の早期化を通じて高山植生の分布や多様性を変える可能性がある。しかし、高山帯における積雪深分布は空間的不均一性が極めて高く、踏査調査のみで両者の関係を広範囲に把握することが難しい。本研究では、UAV空撮画像から構築した三次元モデルを用いて積雪深の空間分布を推定し、次に積算気温を変数に組込んだDegree Dayモデルにより雪解け日を推定した上で、その結果をさらに生息適地モデル(HSV)へ組込み、高山植生の分布適地を予測した。富山県立山の高山帯に見られる5つの植生を対象に、複数の空間解像度で解析を行いモデルの精度を比較するとともに、6つの変数からなる3つの環境変数群の組合せから各変数群のモデルへの寄与を評価した。最後に、気候変動に伴う積雪とハイマツの分布変化を想定した環境をモデルに投入し、対象とした高山植生の分布について将来予測を行った。
 その結果、空間解像度の上昇と共にすべての植生でAUC(モデル精度)が増加した。積雪変数に関するモデルへの影響力は植生毎に異なった。夏緑性植物が優占する高山草原及び落葉低木群落では積雪変数を除外するとAUCが低下した。一方、常緑性であるオオシラビソ群落及びササ群落の分布は主に地形変数によって規定されていた。雪解け日の早期化を仮定したシナリオでは、オオシラビソ群落やササ群落の分布が拡大し、特にササ群落は高山草原群落内へ分布を広げ、一方で高山草原群落は分布域が現在の約8割に縮小することが予測された。ハイマツ群落は本解析では分布予測の精度を高めることができなかったが、その分布拡大は他の植生分布に影響を与える可能性が示された。以上より、高山植生の分布予測においては空間解像度の高いデータセットが有効であり、積雪環境への依存性と将来応答は機能型を反映した植生毎に異なることが明らかとなった。


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