| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-169  (Poster presentation)

西日本の暖温帯林に同所的なウコギ科2種のマイクロハビタットの比較【A】
Comparison of Microhabitats for Two Sympatric Araliaceae Species in Warm Temperate Forests of Western Japan【A】

*青栁仁士, 山田俊弘(広島大学大学院)
*Hitoshi AOYAGI, Toshihiro YAMADA(Hiroshima Univ.)

森林における水平方向の光の不均一性は、若木の更新や分布に影響を与える。遷移過程にある二次林では、林冠構造の違いが原因となり、光環境が空間的に不均一となる。こうした光条件の不均一性が若木の空間分布に強く影響すると考えられるが、二次林を構成する樹種の分布と光環境の対応を調べた研究は限られている。
西日本の二次林に広く分布する先駆的な落葉広葉樹である、ウコギ科のタカノツメとコシアブラは、二次遷移の初期段階で出現し、様々な林内光条件に生育する。本研究の目的は、光環境が不均一な遷移過程の二次林において、この2種が同一林分内で異なるマイクロハビタットを選択的に利用しているかを、空間分布パターンに基づき検討することである。
広島県の常緑広葉樹林において尾根に沿った40m×100mの調査区を設け、内部を25m²の小調査区に区分した。タカノツメとコシアブラの全個体について胸高直径(DBH)と位置座標を記録した。同時に、小調査区四隅の地上2mの高さにおける平均相対光合成光子束密度を算出した。また、各小調査区を尾根部と斜面部に区分した。
DBH10cm以下の小径木では、タカノツメはコシアブラよりも有意に暗い環境に出現した。コシアブラは若木の段階では広く単層状の樹冠を形成することが多いのに対し、狭く多層状の樹冠構造を有するタカノツメは、より暗い環境でも生育できるのだろう。また、タカノツメは尾根部に、コシアブラは斜面部に有意に多く分布していた。コシアブラは若木の段階で乾燥耐性が低いことが示唆されているため、それが影響した可能性がある。本研究では、遷移過程にある広葉樹二次林において、先駆的な近縁2樹種は異なる光・地形環境を好んで更新していると評価された。


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