| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-170 (Poster presentation)
中国地方の山陽地方ではアカマツを主とするアカマツ二次林が多くみられるが,松枯れや遷移の進行により減少傾向にある.広島県東広島市に位置する広島大学東広島キャンパスは,2024年に環境省の自然共生サイトに登録された.1980年代のキャンパス移転前後にアカマツ林が衰退していたが,有志による維持管理によりアカマツ林が残存した.その後活動が縮小し,アカマツ林の衰退が進んでいる.近年,枯れマツが多く確認され,2024年には枯損木の大規模な伐採が行われた.伐採による攪乱や光環境の変化,伐採木分解による富栄養化など,植生や土壌を含む環境変化が想定される.本研究では,伐採地において伐採木の搬出の有無がアカマツ林に及ぼす影響を比較するための調査を行った.
伐採木の搬出地と非搬出地,さらに比較として周辺の常緑広葉樹林や落葉広葉樹林の各地点にコドラートを設置し,植生調査,土壌微生物群集解析,および土壌化学成分分析を行った.植生調査の結果,アカマツの伐採地間では種組成が類似した植生が見られた.伐採地では,周囲の常緑広葉樹林や落葉広葉樹林に比べて生物多様性が高かった.土壌微生物群集については,コドラート間で群集を構成する群に大きな違いはなかったが,相対的な存在量割合には違いがあった.また,ベータ多様性ではアカマツの伐採地と周囲の広葉樹林で異なっていた.土壌化学成分分析では,リン濃度が周囲の広葉樹林で有意に高くなっていた.今後,土壌の基礎代謝能とくに炭素循環に関わる群の同定や各植生を特徴づけるバイオマーカーの選定などを行う予定である.アカマツ林を残すエリアについては伐採木の搬出と下草刈りを継続的に行う計画があるが,同時に時間的な変化を把握するため継続的な調査が必要である.