| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-175  (Poster presentation)

海岸砂丘における汀線距離・地形が植物の葉・根形質に与える影響【A】
Variation in plant leaf and root traits along shoreline and topographic gradients within a coastal dune【A】

*浦田未羽(横浜国立大学), 石井直浩(岐阜大学), 岩知道優樹(横浜国立大学, 東京都環境科学研究所), 山梨満里奈(横浜国立大学), Richa HU(Yamanashi univ.), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Miu URATA(Yokohama National Univ.), Naohiro ISHII(Gifu Univ.), Yuki IWACHIDO(Yokohama National Univ., TMRIEP), Marina YAMANASHI(Yokohama National Univ.), Richa HU(Yamanashi univ.), Takehiro SASAKI(Yokohama National Univ.)

 植物の機能形質は環境条件に応じて植物がどのように戦略を立てるかを理解する上で重要な概念であるが、空間的に不均一な環境勾配を示す海岸砂丘における植物の機能形質の種内及び種間変異の環境勾配との関係は不明である。そこで、本研究では、①葉と根の形質が海岸線から内陸への勾配に沿ってどのように変化するか、その変化が主に種ごとの可塑性によるものか空間の特異的なものか、②種内および種間の変異が類似したパターンを示すのか、異なるパターンを示すのか、を明らかにすることを目的として、鳥取砂丘の前砂丘・間砂丘・後砂丘を含む汀線-内陸勾配に沿った葉・根形質の種内および種間変異を定量化した。本研究では、2つの優占種(コウボウムギおよびケカモノハシ)の種内変異を定量化し、群集加重平均(CWM)形質値を用いて種間変異を評価した。
 コウボウムギでは、ほとんどの葉形質が汀線-内陸方向の勾配に沿って単調に変化したが、葉の靭性は例外として単峰性のパターンを示した。汀線付近の個体はより厚く強い頑丈な葉を有し、内陸側では物理的ストレスの減少により、地上部の成長と資源獲得に投資できる可能性が示唆された。コウボウムギとは対照的に、ケカモノハシはより選択的な種内応答を示し、主に植物高の増加として現れた。これは種内形質変異の可塑性の大きさと次元性が種特異的であることを示唆する。群集レベルでは、CWMはより顕著な変化を示し、資源節約型で形質的に頑丈な形質が汀線付近で優位となった。根の特性には種内変動がほとんど見られなかったが、根の乾物量に対するCWMは内陸部で増加し、内陸群集では資源節約型の根戦略への群集レベルの変化が示唆された。群集レベルでは、機能形質の変化は必ずしも各種の種内変異ではなく、種の入れ替わりによって形成され、汀線付近では物理的に頑丈な形質特性を持った種が有利になることが明らかになった。


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