| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-183 (Poster presentation)
宅地需要の増大に伴う地価上昇を背景に、土地の細分化が進行している(高浦 1980)。住宅敷地の細分化には、一定規模まで細分化される必然性と、その傾向の不可逆性が指摘されている(高浦 1980)。新興住宅地では、敷地面積の大きい住宅に生垣が見られる一方、全体としては塀とフェンスを垂直に組み合わせた囲障が多い(近江ほか 1991)。敷地面積や接道部の長さが減少するほど生垣の出現率は低下し、接道部に緑がない敷地が増加する(近江ほか 1991,田川ほか 2010)。
生垣の植栽は、都市および近郊における景観的、生態学的連結性と多機能性の向上に寄与する一方で、生垣の減少は景観的、生態学的連結性の低下に結び付く(Rochard et al. 2025)。
本研究は、住宅地における接道部空間の工作物とすきまの緑の組合せを整理と分類し、将来の宅地更新や地区計画に向けた接道部緑化の構想を提示することを目的とする。
調査は2025年6~8月に実施し、同年10月に補足調査を行った。東京都国立市中2丁目を対象に、各宅地の接道部空間の工作物の類型とすきまの植被率を記録し、両者の組合せを類型化して比較した。比較の結果は「良い、普通、不良」の三段階に区別し、「良い」を基準として構想を行った。
結果として、生垣は敷地面積の大きい宅地に多く見られ、緑量も最も多かった。敷地面積の小さい宅地では、接道部の工作物に硬質舗装が多く用いられ、緑量は最も少なかった。接道部のすきま空間が広く、緑量が比較的多い組合せは、私道沿いの住宅の接道部空間に多く見られた。
都市の道路縁部や舗装のすきまには、種多様性の高い植物群落が集積していることが指摘された(Charoenlertthanakit 2024; Del Tredici 2014)。こうした空間は狭小でコンクリートやアスファルトに囲まれているにもかかわらず、在来種と外来種が混在する高い種多様性をもつ植生が形成されており、都市生物多様性を補完する生息地として機能しうると考えられている(Heikkinen et al. 2023)。