| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-193  (Poster presentation)

都市化に伴う樹冠節足動物の群集構造の変化【A】
Changes in community structure of canopy arthropods in response to urbanization【A】

*神野空音(京都大学), 小松孝太朗(京都大学), 松岡俊将(京都大学), 中臺亮介(横浜国立大学), 辰巳晋一(京都大学)
*Kuon KANNO(Kyoto Univ.), Kotaro KOMATSU(Kyoto Univ.), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto Univ.), Ryosuke NAKADAI(Yokohama National Univ.), Shinichi TATSUMI(Kyoto Univ.)

世界中で進行する都市化は、緑地の縮小や孤立化を通じて、昆虫の個体数や種多様性、種組成を変化させることが知られている。特に植食性昆虫の群集動態は餌資源である植物に大きく依存されることから、都市化によるホスト植物の変化が、植食性昆虫に間接的な影響を及ぼしている可能性がある。これまで都市緑地における昆虫群集研究は、その多くが都市化と昆虫の群集構造との直接的な関係に注目しており、昆虫とホスト植物との関係を考慮したものは少なかった。そこで、本研究では、都市緑地に生育する木々の樹冠昆虫を対象とすることで、都市化に伴う植食性昆虫組成や樹木―植食者間相互作用の変化を調べた。
本研究では、京都市内の都市度の異なる10地点の緑地に存在する、複数種の落葉広葉樹の樹冠から植食者昆虫を採集した。採集した植食者からDNAを抽出し、メタバーコーディングによって種を定義した。各サイトの植食者の個体数および種数と都市度との関係について一般化線形混合モデルを用いて解析した。サイト間の植食者の種の入れ替わり(βH)と、サイト間で共通して存在する植食者の利用植物の変化(β0)を計算し、冗長性分析を行った。説明変数には各サイトの都市度を用いた。
その結果、都市度と植食者の個体数との間には有意な正の相関がみられたが、種数との間には有意な関係は見られなかった。植食者の個体数に占める半翅目と長翅目の割合は都市化に伴って上昇したが、反対に甲虫目の割合は低下しており、都市化に対する応答に分類群特異性があることが示唆された。都市化に伴う植食者の種の入れ替わり(βH)は見られたが、植食者の利用植物の変化(β0)は検出されなかった。本研究によって、都市勾配に沿った樹冠昆虫群集の構造変化とその特性が明らかになった。


日本生態学会