| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-197  (Poster presentation)

都市縮退による植物多様性への影響:1990年以降のドイツ全域を対象とした検証【A】
Urban shrinkage and plant diversity: evidence across Germany since 1990【A】

*鴫原雄斗(横浜国立大学), Harsh YADAV(Yokohama National University), 萩原拓海(横浜国立大学), 岩知道優樹(横浜国立大学, 東京都環境科学研究所), 小池文人(横浜国立大学), 松行美帆子(横浜国立大学), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Yuto SHIGIHARA(Yokohama National University), Harsh YADAV(Yokohama National University), Takumi HAGIWARA(Yokohama National University), Yuki IWACHIDO(Yokohama National University, TMRIEP), Fumito KOIKE(Yokohama National University), Mihoko MATSUYUKI(Yokohama National University), Takehiro SASAKI(Yokohama National University)

 都市縮退は、人口減少や経済的衰退を特徴とし、都市内に空き地や未利用地の広範な出現をもたらす世界的な課題である。都市生態学の観点では、こうした管理放棄地の形成は植生の多様性回復や新たな種の定着機会となり得る一方で、植生の均質化や外来種の拡散を招く懸念もあるが、広域的な植物多様性への影響は十分に解明されていない。本研究では、1990年の再統一以降、都市の成長と縮退の二極化が進むドイツ全土を対象に、人口減少が植物多様性に及ぼす影響をマクロスケールで定量的に評価した。
 ドイツ全域の401地域を対象とし、人口推移データと1990年から2019年に実施された標準化された植生調査データを統合して解析した。1995–2005年および2005–2015年の2期間において、各地域の人口動態(成長・安定・縮退)が在来種および外来種の種数・被度の変化に及ぼす影響を、メタ回帰分析により検証した。
 解析の結果、在来種の種数および被度については、縮退地域と安定地域の間で有意な差は認められなかった。これは、人口減少という社会的変化が在来種群集の構造に反映されるまでに、生態学的なタイムラグが生じている可能性を示唆する。一方で外来種については、2005–2015年の縮退地域で種数と被度の双方が増加傾向を示し、特に被度は安定地域と比較して有意に高かった。都市縮退に伴う土地利用変化は、攪乱耐性の高い外来種の急速な拡大を促進することを示唆する。本研究の結果は、都市縮退が在来種の多様性回復をもたらすよりも先に、外来種優占の変化が先行して進行することを示している。これは、都市縮退が、必ずしも植生の自然回復に繋がらないことを示唆しており、生態系の適切な管理の重要性が示された。


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