| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-198 (Poster presentation)
生物の分布は、景観を構成する生息地の面積と配置に影響される。草原に生息する鳥類は近年日本で生息域を縮小させており、絶滅が危ぶまれている。農地は湿生草原を減少させる一方、一部の鳥類種の補完的な生息環境として機能することが示されている。よって、草原性鳥類の具体的な保全策を提言するには、草原と農地の双方が分布特性に与える影響を種ごとに解明する必要がある。本研究では草原と農地が混在する景観において6種の草原性鳥類の分布を決定する要因を明らかにし、生息適地を推定することを目的とした。2023年から2025年の繁殖期に、北関東平野部において6種の草原性鳥類の分布を調査した。ヒバリ、オオヨシキリ、セッカは約2500 km2の範囲を網羅的に、オオセッカ、ホオアカ、コジュリンは約7500 km2の範囲を既存知見を基に踏査した。各種の在情報、および他種の在地点を不在地点とみなし作成した在不在情報を目的変数として種分布モデルを構築した。その結果、ヒバリ、オオヨシキリ、セッカは北関東平野部のほぼ全域が生息適地として推定された。ヒバリは畑の面積に対して正の応答を、オオヨシキリとセッカは水田の面積に対して一山型の応答を示した。よって3種は農地を利用することで広域に分布することが示唆される。オオセッカ、ホオアカ、コジュリンの推定分布は局所的であり、水田と畑の面積に対して明確な応答を示さなかった。湿生草原の面積に対しては正の応答を示し、各種の生息確率が頭打ちになるには、広域に分布する3種と比べ広い面積の湿生草原が必要であった。よって3種が局所的に分布する理由は、農地を利用せず、大規模な湿生草原に強く依存することだと示唆される。以上より、ヒバリ、オオヨシキリ、セッカの保全には農地と湿生草原の混在景観の維持が、オオセッカ、ホオアカ、コジュリンの保全には大規模な湿生草原の維持・創出が必要であると考えられる。