| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-200  (Poster presentation)

三宅島における火山遷移に伴う土壌呼吸の変動【A】
Variation of Soil Respiration Along  the Volcanic Succession on Miyake-jima Island【A】

*鄭鵬遥, 飛詰峻, 廣田充, 上條隆志(筑波大学)
*Pengyao ZHENG, Shun HIZUME, Mitsuru HIROTA, Takashi KAMIJO(Tsukuba Univ.)

火山島における生態系回復過程では、植生遷移の進行に伴い炭素循環の動態が大きく変化すると考えられる。特に土壌呼吸は重要なCO₂フラックスであるが、火山島の遷移段階に沿った長期的な年変化および季節変動の実態は十分に解明されていない。
本研究では、異なる遷移段階にあるハチジョウススキ草原(IG7)、オオバヤシャブシ林(IG8)、スダジイ林(TS4)を対象に、土壌呼吸量の年変化および季節変化を明らかにすることを目的とした。
現地では各地点に10基のチャンバーを設置し、アルカリ吸収法(Keith & Wong, 2006)を用いて、2023年6月から2024年11月まで月1回の頻度で土壌呼吸量を測定した。同時に地温および土壌水分を記録し、土壌呼吸速度(gCO2m-2d-1)を算出した。
土壌呼吸量はハチジョウススキ草原(IG7)<オオバヤシャブシ林(IG8)<スダジイ林(TS4)の順に高い傾向を示した。高温期である2024年7月には、IG7で約2-5、IG8で約4-7、TS4で約6-15gCO2m-2d-1を示し、地点間に有意な差が認められた。一方、低温期(2023年12月~2024年2月)には各地点とも概ね1-3gCO2m-2d-1まで低下し、地点間差は小さくなった。温度は全地点において正の影響を示し、高温期において遷移段階間の差異がより顕著に現れる傾向が認められた。各地点内10点間の空間変動幅にも違いが見られた。特にTS4では夏季に最大約8-9gCO2m-2d-1の差が確認され、空間的異質性が大きいことが示された。一方、IG7では変動幅は比較的小さく、全体として低い値で推移した。これらの結果は、遷移進行に伴う土壌呼吸量の増加傾向を支持する一方で、その差異は季節によって変動し、一部の時期ではハチジョウススキ草原の土壌呼吸量がオオバヤシャブシ林と同程度の強度にまで回復していることが示された。


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