| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-210  (Poster presentation)

在来種ネズミモチと近縁外来種トウネズミモチの繫殖特性の比較【A】
Comparison of reproductive characteristics between native Ligustrum japonicum and exotic Ligustrum lucidum【A】

*籾山智咲, 竹内志奈, 中川弥智子(名大院生命農)
*Chisa MOMIYAMA, Yukina TAKEUCHI, Michiko NAKAGAWA(Nagoya Univ.)

外来種の侵入は、生物多様性の損失を引き起こす要因の一つである。外来種が在来種や生態系に及ぼす影響を抑制するためには、外来種の生態的特性を把握し、適切な管理をする必要がある。生態的特性の中でも、繁殖特性は個体群の維持や拡大に直接関連するため、外来種の定着や拡大を理解する上で特に重要である。在来種ネズミモチと外来種トウネズミモチは同属で形態や生態が類似していることから、在来種と外来種の繁殖特性を比較するモデルとして適している。そこで本研究では、ネズミモチとトウネズミモチの繁殖特性を明らかにすることを目的とした。
調査は名古屋大学東山キャンパス構内の森林で2025年に行った。ネズミモチ61個体、トウネズミモチ27個体を選定し、両種の花と果実の形態、開花フェノロジー、訪花昆虫、結果率について調査をした。
開花ピークはネズミモチでは6月6日、トウネズミモチは6月28日で両種の開花ピークは異なっていたが、両種の開花期は一部重複していた可能性が高かった。また、トウネズミモチはネズミモチと比べて花序数や1花序あたりの花数が多かった一方、ネズミモチでは花冠長や花径、雄しべと雌しべの長さ、花の生重と乾重がトウネズミモチに比べて有意に大きかった。1日当たりの訪花昆虫の総個体数は、ネズミモチよりもトウネズミモチで多かった。ネズミモチでは訪花昆虫の60 %をアリ科が占めており、特定の分類群の優占度が高かった。一方、トウネズミモチではアリ科(30 %)に加えてコウチュウ目(23 %)やチョウ目(17 %)など複数の分類群の昆虫が訪花し、特定の分類群に偏らない訪花昆虫群集が形成されていた。さらに、平均結果率は両種で近い値を示したが、χ²検定で比較した結果、トウネズミモチの方が有意に高かった。以上のことから、外来種トウネズミモチは大きなディスプレイ効果でより多くの昆虫を誘引し、在来種ネズミモチより高い繁殖力を有していることが示唆された。


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