| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-215  (Poster presentation)

日本在来のハナミョウガ属2種にみられる対照的な送粉者相と分布の関係【A】
Relationship between Contrasting Pollinator Assemblages and Geographic Distributions of Two Alpinia Species in Southwestern Japan【A】

*上村真寛(鹿児島大学), 鈴木英治(島嶼教育研究センター, 鹿児島大学), 渡部俊太郎(鹿児島大学)
*Mahiro KAMIMURA(Kagoshima Univ.), Eiji SUZUKI(Int. Cen. for Island Studies, Kagoshima Univ.), Shuntaro WATANABE(Kagoshima Univ.)

植物と送粉者との相互作用は植物の繁殖成功や分布を規定する重要なものであると考えられている。多くの植物種で複数分類群の昆虫が訪花することが知られているが、訪花昆虫の中でもチョウの仲間は送粉への貢献について意見が分かれており、基本的に蜜泥棒であり訪花頻度が高い場合でも効率的な送粉者ではないとする見解と、訪花頻度が低くても送粉者として貢献しているという見解がある。ジェネラリスト的な花粉媒介様式を示す植物において、チョウの送粉者としての貢献度を実験的に見積もるとともに、その様相を近縁他種と比較することで、訪花するチョウの役割について新しい知見を得ることができるかもしれない。
そこで本研究では、日本在来のハナミョウガ属の2種であるハナミョウガとアオノクマタケランを対象に送粉者相の違いと分布の関係について検討を行った。
まず、2024年及び2025年に鹿児島県いちき串木野市羽島と南さつま市野間岳にて野外観察を行い、訪花昆虫の種組成と訪花頻度を記録した。
結果として、ハナミョウガではコマルハナバチ、トラマルハナバチなどの膜翅目のみの訪花が確認され、特定のミツバチ科の種に依存する傾向がみられた。一方、アオノクマタケランでは鱗翅目、膜翅目、双翅目の複数分類群において訪花が確認され、特に鱗翅目の訪花頻度が高いことがわかった。
次に、アオノクマタケランを対象に、鱗翅目の中でも特にチョウが多数訪花していたことからチョウを排除し、他の昆虫はすり抜ける大きさのネットを設置し訪花者観察と自然条件下の対照群と比較した結果率の記録を実施した。実験の結果、ネットを設置した区画ではチョウの訪花頻度が顕著に低下し、結果率も有意に低下することが確認された。これらの結果より、チョウの仲間はアオノクマタケランの送粉に重要な役割を果たしているが、近縁のハナミョウガでは何らかの理由でチョウ媒という性質がみられていない可能性を示唆している。


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