| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-216 (Poster presentation)
ハワイ諸島は大陸から隔絶しており、外部からの種の移入が少なく、限られた種が諸島の多様な環境に適応放散している。ハワイフトモモ(Metrosideros polymorpha)は、ハワイ諸島の森林を構成する主要樹種であり、適応放散のモデル植物として注目されている。
これまで、ハワイ島内における葉の機能形質(葉面積あたりの葉重(LMA)など)と環境要因の関係に関する報告はある一方、島の形成年代が異なるハワイ諸島全域を網羅した研究はほとんどない。また、葉の形に関しては、これまで定量的な評価がほとんどなく、どの程度多様化しているのかは明らかではない。そこで、ハワイフトモモ種群の葉形質、特に葉の形について幅広い土壌年代を網羅して環境因子との関係性を定量的に評価することで、本種の適応進化の一端の解明を目的とした。
ハワイ諸島内の4島で、標高や土壌年代の異なる79サイト1326個体のハワイフトモモから葉を採集した。スキャン画像を基に葉面積を測定し、乾燥重量から、LMAを計算した。また、葉の形を評価するために、各葉の特徴点10点の座標を使用したランドマーク解析を適用し、形状を表す変量として、葉の縦横比や先端角度など5つの指標を測定した。葉の形質と環境要因の関係を調べるために、GISソフトを用いてサイトの気象データ及び土壌年代を抽出した。
LMAは気温と強く相関し、高標高ほど高くなる傾向がみられた。一方、葉の形は、土壌年代とも強く相関し、土壌年代が古くなるほど先端の角度はより尖る傾向がみられた。これらの結果から、LMAなどの機能形質が気候条件で強く制御されていることを示す一方で、葉の形はハワイ諸島間で多様化し、島の形成時期という時間の影響が見られると示唆された。