| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-217  (Poster presentation)

同所的に分布するオオバコ属2種における種間相互作用の検証【A】
Evaluating interspecific relationships between two coexisting Plantago species【A】

*小林恒輝, 荒木希和子(滋賀県立大学)
*Koki KOBAYASHI, Kiwako S. ARAKI(Univ. Shiga Pref.)

近縁な種は類似したニッチを占めるため共存が困難であるとされてきたが、野外では近縁種間の同所的な分布がしばしば観察される。在来種オオバコ(Plantago asiatica)と帰化種ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)も広域では分布が重ならず、わずかな環境の違いによりすみわけているものの、混在して生育することがある。
本研究では、同所的に分布する近縁種の種間相互作用が個体の成長・生存および個体群動態にどのような影響を与えるかを明らかにし、共存を可能にするメカニズムを検証することとした。
滋賀県立大学構内で2種が同所的に分布する場所と単独で生育する場所を含む1×5mの調査区において個体群調査を行い、個体の成長と生存および実生数を計測した。その結果、いずれの種も同所的に分布する場所で成長率が高く、オオバコは単独で分布する場所で衰退傾向を示した。また、どちらも同所的に分布する場所では個体密度が相対的に低かったが、死亡率のみならず実生の出生率も高かった。
同種もしくは他種の2個体を組み合わせたポット栽培実験により、近隣個体の存在が成長および繁殖に及ぼす影響を評価した。その結果、いずれの種においても他種と混植した個体は同種のみで植えた個体よりも大きく成長した。また、個体サイズに依存して花穂数の増加傾向が確認されたが、近隣個体の種構成による繁殖への影響は見られなかった。
以上より、2種が同所的に生育する環境では、種間競争が個体の成長促進と実生の出生率の向上をもたらす一方で、死亡率も高めることが明らかになった。すなわち、分布の重複域では個体の成長と生存のトレードオフが生じていると同時に個体群の更新が促進されていることが示唆される。ゆえにこれら2種の共存は、環境選好性によるすみわけに加え、種内競争の緩和と種間競争に伴う個体群動態の変化により成立していると考えられる。


日本生態学会