| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-221  (Poster presentation)

野生植物の巨大クローン集団内におけるDNAメチル化変異の多様性の探索【A】
DNA methylation variations within a massive clonal population of wild plants【A】

*深田陽希, 竹谷祐介, 岡本一希, 名波哲(大阪公立大学大学院)
*Haruki FUKADA, Yusuke TAKEYA, Kazuki OKAMOTO, Satoshi NANAMI(Osaka Metropolitan University)

遺伝的多様性の低い生物集団は、急激な環境の変化に対して脆弱であるとされており、遺伝的多様性の高い集団と比べて、長期的に集団を維持できる可能性が低くなると考えられている。その一方で、近年の研究では、複数種の野生植物において無性生殖を行い、広域に分布する巨大なクローン集団が確認されてきている。同じDNA塩基配列をもつために遺伝的多様性が極めて低く、生理的特性が均一であるはずのクローン集団が、気温や降水量などが異なる環境に広く分布し、適応的に生育できている理由は、まだ詳しくは明らかになっていない。そこで本研究では、エピジェネティック変異が表現型に作用することで単一のクローン集団内に多様性がもたらされ、異なる環境で適応的に生育している可能性に注目した。日本において雌株しか存在せず、先行研究により巨大クローンが確認されているジャヤナギ(ヤナギ科)について、福島県、茨城県、鳥取県、高知県の4地点でサンプリングを行った。MIG-seq法によってSNPsを検出してクローン解析を行った結果、調査したすべての個体が同一の遺伝子型を共有し、単一のクローンに属することが明らかとなり、日本各地に分布する巨大クローンである可能性が強く示唆された。次に、エピジェネティックな変異として、DNAメチル化変異に着目した。メチル化感受性を持つ制限酵素HpaⅡを用いたMS-AFLP法によって、巨大クローン集団内にDNAメチル化変異が存在するのかについて調べた。さらに、クローン間でも生育温度や由来地の違いによって、成長量に変化が生じるのかを調べるために、挿し木の栽培を行った。栽培には、クローン解析に用いたサンプルの各個体から採取した枝を用いた。人工気象器を用いて20℃と30℃の2条件の温度環境下で栽培した結果、特に30℃の環境条件では高知県由来の個体で他の由来地の個体よりも成長量が小さく、死亡率も高い傾向が見られた。


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