| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-224 (Poster presentation)
遺伝的多様性の低い集団は環境変動に対して脆弱であるとされることから、無性繁殖によるクローン形成は適応力を制限すると考えられてきた。しかし近年では、多様な環境にまたがる広域に分布する巨大クローンが報告されている。そこで、本研究では主に無性繫殖をおこなう3倍体オニユリと花粉が不稔でないため、無性繫殖と有性繁殖を行う2倍体オニユリ(主に対馬に自生)、オニユリの近縁種で主に有性繁殖を行うコオニユリの3つを対象として無性繁殖と有性繁殖を行う植物のそれぞれのクローン規模と地理的分布を明らかにする。また、3倍体オニユリでは、花粉が不稔であるために3倍体同士の交雑によって有性生殖をする可能性は低いが、花粉が不稔でない2倍体オニユリとコオニユリとの交雑によって有性繁殖を行うことは考えられ、2倍体オニユリとの交雑によってできる同質3倍体、コオニユリとの交雑によってできる異質3倍体の二つの要因が3倍体オニユリのクローン分化にどう影響を与えるのかを明らかにすることを目的とする。
まず、日本各地から採取したオニユリについて、MIG-seq法によりSNPsを取得し、個体間の遺伝的距離に基づいてクローン判定を行った。その結果、岩手~長野~京都に広がるクローンなどの複数地域にまたがって分布するクローンが複数確認され、オニユリでは大規模なクローン形成が起きていることが明らかになった。2倍体オニユリについては、対馬の5地点から採取したサンプルと遺伝距離やクローン判定を行うことによって考察する。また、コオニユリについては解析済みであるコオニユリとオニユリのサンプルを使用して人工的に種間雑種の作成を行い、オニユリとコオニユリのサンプルに作成したサンプルを加えて無根系統樹を書くことによって作成したサンプルを指標にコオニユリによる影響を考察する。また、系統樹作成とstructure解析を用いてクローン間での近縁関係などについても調べる予定である。