| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-227 (Poster presentation)
島嶼は生物地理学における重要な実験系として古くより研究対象となってきた。島嶼の生物相は、近隣の大陸の生物相としばしば種構成が異なり、また様々な島嶼でみられる生態的・形態的類似性はアイランドシンドロームとして整理されている。本研究の対象地である佐渡島は、本土との距離が約32㎞と近いものの、約300万年前に海底より隆起して成立した島である。したがって、佐渡島は、本土からの地理的隔離が小さい一方で時間的隔離が長く、本土隣接型の海洋島という特徴を示す。これまで佐渡島に分布する植物種で共通する形態変異が生じているかを検証した研究例はない。本研究では生育様式・花粉媒介様式・種子散布様式が異なる種子植物8科10種を対象に、佐渡集団と本土集団の外部形態の比較から、佐渡島の植物群においてアイランドシンドロームとされる形態変化がみられるかを検証した。2023年4月から2025年8月にかけて、佐渡島と新潟県内外において採取を行い、腊葉標本を使用して測定を行った。佐渡島と本土間での形態差を明らかにするため、多重比較検定と主成分分析を行った。その結果、オドリコソウやエンレイソウでは佐渡島において花サイズが大型化していることが明らかになった。一方でムラサキケマンやスミレサイシンでは逆に佐渡島で花サイズの小型化がみられた。さらに一部の植物種では葉形質が大型化もしくは小型化していることも明らかになった。アリ散布種や虫媒花の種で形態差が検出されたことから、佐渡島の植物が本土とは異なる媒介者相へと適応している可能性が示唆された。本発表では、気候および地形の環境要因と形態差の関連について、一般化線形混合モデルを用いた解析結果も併せて報告する。