| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-229  (Poster presentation)

どの組み合わせが相乗効果を産む?アオウキクサにおける多様性効果の表現型基盤【A】
The phenotypic basis of population overyielding in duckweed【A】

*河合叶愛(千葉大学), 村中智明(名古屋大学), 高橋佑磨(千葉大学)
*Toa KAWAI(Chiba Univ.), Tomoaki MURANAKA(Nagoya Univ.), Yuma TAKAHASHI(Chiba Univ.)

単一品種のモノカルチャー栽培は、多くの農作物で主流であるものの、モノカルチャー集団は遺伝的に均一な個体で構成されるため、強い個体間競争が生じていると考えられる。すなわち、生産性や増殖速度が最大化されているとは言い難い。一方、遺伝的に異なる複数系統を混合したポリカルチャー集団では、集団全体のパフォーマンスが混合した系統の平均ではなく非相加的に決定されることが知られている(多様性効果)。多様性効果は、ニッチ分化による競争緩和などによる正の効果や、非血縁個体への成長妨害といった負の効果の結果として現れると考えられている。したがって、正の多様性効果を最大にする組み合わせ方を予測できれば、高収量で高安定な栽培方法を確立できる可能性がある。しかし、現状では多様性効果を高める表現型多様性やそのメカニズムは特定されていない。そこで本研究では、水生植物アオウキクサ(Lemna aoukikusa)を用いて、多様性効果を高める表現型多様性とそのメカニズムの探索を目的とした。異なる地域個体群に由来する14系統を2系統ずつ網羅的に組み合わせたポリカルチャー条件と、各系統を単独栽培するモノカルチャー条件で6日間栽培し、フロンド総面積の変化率から増殖速度を推定した。多様性効果の指標として増殖速度に対する過剰効果(各系統のモノカルチャー時の平均値とポリカルチャーの差)と、超過剰効果(モノカルチャーの最大値とポリカルチャーの差)を算出したところ、多くの組み合わせで負の値を示したが、一部では正の値が得られた。測定した19の形質の表現型距離を説明変数、過剰収量を被説明変数として重回帰分析を行なった結果、低光量下および酸性条件下での系統間の増殖能力の差が多様性効果に関連していることがわかった。これらの形質の多様性がニッチの分化や相互促進効果を導くことで、多様性効果を高めると考えられた。


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