| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-230 (Poster presentation)
陸面モデル (LSM)の開発はこれまで、研究者個人またはモデル開発チームの興味・関心に基づいて、プロセスをより詳細にモデリングすることで進められてきた。しかしながら、コードベースの肥大化とモノリシックな構造により、特定のプロセスをどうモデリングするかという選択が出力結果に与えている影響の評価が難しく、複雑な運用は他分野の研究者の参入障壁にもなっている (Fisher and Koven 2020; Blyth et al. 2021)。
そこで本研究では、主要な生態学プロセスをモジュール化した植物生産力評価モデルの開発を進め、まずは気孔コンダクタンス過程を対象に、固定値から近年のモデル表現までを容易に交換できるようなモジュール設計を提示する。モデル評価にはFLUXNETから取得した観測データを用いて、落葉広葉樹(DBF)、常緑針葉樹(ENF)、常緑広葉樹(EBF)、草原(GRA)を対象に、総一次生産 (GPP)と潜熱フラックス (LE)の季節変化および日変化の推定精度を検証した。
結果として、代表的な気孔コンダクタンスモデルの一つであるLeuning (1995)を適用した時、DBFとENFでGPPの季節変動を良好に再現した (R2 > 0.7)。また、LEの季節変動に関して、DBFではLEの値が増減を開始する時期を、ENFではピークの値をそれぞれ良好に再現したが、EBFとGRAを含む平均的な推定精度は低かった (R2 < 0.2)。
以上より、本モデルは気孔コンダクタンス過程を交換してもモデル全体が破綻しにくいようにモジュール化された設計を提示し、今後複数の気孔コンダクタンスモデルの導入と比較により、プロセス表現の差が植物生産力に与える影響を直接評価する。