| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-231 (Poster presentation)
種子の発芽から実生期の植物の死亡率は極めて高い。また発芽直後の実生の資源獲得能力は低く、実生の成長は種子の貯蔵資源に大きく依存する。貯蔵資源の水分量は微量なので、発芽直後の実生は根の成長に物質を多く分配する。そのため、種子重量は、実生の地下部と地上部との物質分配(以下R:S比)に影響し、R:S比はその後の資源獲得や成長を左右する。そこで、異なる光合成型のC3・C4植物のイネ科草本それぞれ5種の合計10種を用いて、種子重量が実生の生残と物質分配に与える影響を種間で比較した。
人工気象室(昼14時間25℃、夜10時間20℃)内で、秤量した種子を播種し栽培した。栽培期間中はハイポネックス4000倍希釈液を毎日灌水し、鉢の土壌水分量を一定に維持した。発芽後28日目に地下部と地上部を切り分けて収穫し、それぞれの乾燥重量を測定した。種子重量と発芽の有無、個体重、地下部重量、地上部重量、R:S比の関係を線形混合モデルで解析し、個体重および地下部重量、地上部重量、R:S比については光合成型の効果も評価した。
10種をまとめた解析では、種子重量が大きいほど発芽の確率は有意に高かった(p < 0.001)。一方で、種子重量が小さいと発芽しない種子の割合が高かった。個体重も種子重量とともに増加し(p < 0.01)、種子重量の影響は光合成型で異なった。さらに地下部重量に伴い地上部重量も増加し(p < 0.001)、同じ地下部重量で比較するとC4植物の地上部重量はC3植物より大きかった。以上より、種子重量は発芽および初期成長量に影響し、実生期の資源分配は光合成型によって異なった。十分な灌水下では、水利用効率の高いC4植物は地上部により多く物質分配した結果だと考えられる。