| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-237  (Poster presentation)

消雪時期の変化がブナとチシマザサの競争に与える影響【A】
Effects of changes in the snowmelt timing on competition between Japanese beech and dwarf bamboo.【A】

*堀文哉, 石田清(弘前大学)
*Fumiya HORI, Kiyoshi ISHIDA(Hirosaki Univ.)

 温帯域では、気候温暖化によって積雪環境が変化することが予測されている。先行研究において、森林における消雪の早まりは、林床植生であるササの生育に正の影響を及ぼすとされている。しかし、消雪時期の変化が、森林植物の窒素獲得競争に影響を与える形質や、窒素獲得を介した競争関係に与える影響についての研究事例は少ない。そこで本研究は、消雪時期の変化がブナとチシマザサの形質に与える影響、また二種の窒素獲得の競争関係に与える影響を明らかにすることを目的とした。我々は、北日本の多雪山地である八甲田山のチシマザサが生育するブナ林を調査地として、消雪の早まりを模した除雪処理と、消雪の遅れを模した消雪遅延処理(遅延処理)を行い、環境条件、二種の地上部・地下部動態、窒素獲得の変化を評価した。
 消雪操作の結果、除雪区のチシマザサの光合成開始時期は対照区よりも1か月早く、ブナ開葉前の強光を利用することができた。また、遅延区のチシマザサの光合成開始は対照区よりも2週間遅くなった。
 二種の形質の変化について、除雪区のブナは対照区よりも黄葉日が遅くなり、チシマザサでは旧稈の新葉枚数の増加、ササの細根生産量の増加がみられた。また、遅延区のチシマザサでは、旧稈の新葉枚数の減少、旧稈の当年枝死亡率の上昇、新稈の葉面積の増加がみられた。このことから、消雪の早まりはチシマザサの生育と窒素獲得の競争力に正の影響を与え、消雪の遅れは負の影響を与える可能性があることが示唆された。
 競争関係について、ブナ葉C/N比、チシマザサ葉C/N比ともに消雪操作による影響は検出されなかった。このことから、本調査地における単年度の消雪時期変化では、ブナとチシマザサの競争関係に与える影響は小さいことが示唆された。


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