| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-243 (Poster presentation)
つる植物は熱帯林を構成する主要な要素のひとつであり、種の多様性や樹木の成長、森林の遷移などに影響を与えている。つる植物は熱帯季節林で多く生育しており、生育形態や成長速度の違いから、各器官の形質が樹木と異なると報告されている。本研究ではカンボジア熱帯季節林に生育するつる植物の多様性と構造特性を調べるとともに、葉の形態形質と解剖形質を調べ、同調査地に生育する樹木と比較することで、機能的特性および資源利用戦略の特徴を明らかにすることを目的とした。
調査はカンボジア・シェムリアップ州に位置するクーンリアム森林研究所内の常緑樹林プロット(0.5 ha)で行った。2025年7月と10月にプロット内に生育するGBH3 cm以上のつる植物を対象に種、位置およびサイズを記録した。また、優占種15種72個体を対象に、葉身、葉柄および材を採集し、葉面積、比葉面積、葉乾物含有量、葉柄長、葉柄断面積、葉柄含水率、葉柄断面木部割合、葉柄断面師部割合、材密度を測定した。各形質をつる植物と樹木(23種119個体)で比較した。また、形質間の関係を評価するため標準主軸回帰を行った。
つる調査の結果、0.5 haに41種、1292幹のつる植物が生育しており、胸高断面積合計(BA)は0.95 m2、多様度指数(H’)は2.50であった。樹木と比較して、幹密度は約2.5倍、BAは約1割、H’は0.15大きかった。比葉面積はつる植物で大きく、葉柄断面積、葉柄含水率および材密度は樹木で大きかった。一方、つる植物と樹木の葉乾物含有量や葉柄長は類似しており、一部の形質ではつる植物がより獲得的であることが示唆されたが、一貫した傾向は見られなかった。また、つる植物と樹木の両方で葉面積と葉柄長、葉柄木部割合と葉柄師部割合などに正の関係がみられ、つる植物と樹木で共通した葉身と葉柄のスケーリング関係をもつことが示唆された。