| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-246 (Poster presentation)
海岸林は津波被害を軽減する減災機能を有する.海岸クロマツは垂直根と水平根から成る根系構造をもち,それは津波などにより倒伏する際の抵抗力に関係する(Todo et al. 2022).樹木の根系構造を調べるための非破壊手法である地中レーダ法は,根を掘り起こさず根の位置・太さを推定できる.これまで樹木根のレーダ反射波は,視覚的に判断され手抽出されてきた.近年,双曲線の反射波形を深層学習したモデルにより,半乾燥地における低木種根系についてレーダ波の自動抽出が報告された(Li et al. 2022).しかし,礫を含む砂質海岸クロマツ林(Hirano et al. 2018)など高木種に着目して根のレーダ波形を自動抽出した報告はほとんどない.本研究の目的は,海岸クロマツの根の地中レーダ探査画像に物体検出モデルYOLO 11を用い,樹木根による反射波形の自動抽出を実装することである.この目的達成のため,本研究ではモデルの学習に用いる探査データの波形処理条件を検討し,構築したモデルにより反射波の自動検出を行い,その精度評価を行った.
対象としたクロマツは,愛知県田原市の汀線から700 m 程度の海岸内陸部に生育し,レーダ探査及び掘り取り調査が行われた成木3個体である(Hirano et al. 2025).各個体の幹周辺を同心円測線でレーダ探査した反射波データに対し,いくつかの波形処理を試み反射波画像を生成した.これらの反射波画像に掘り取りで実測された各個体の根の位置と根直径を対応させることで,深層学習用データセットを作成した.その結果,波形処理のうち背景除去処理を用いることで双曲線反射波が明瞭になり,モデルの根による反射波の検出精度が向上した.発表では,探査条件や土壌層など反射波形を不均一にする要因について検討し,それらがモデルの検出特性に与える影響も議論する.