| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-249  (Poster presentation)

草刈りで発生する雑草VOCsを稲作に導入するための実証実験【A】
Field trial on the application of weed-VOCs exuded by mowing to rice farming【A】

*河内凜太朗(新潟大学), 船久保栄彦(株式会社ミクリ), 石田真也(株式会社ミクリ), 井形誠(株式会社いにしえ), 西川真承(龍谷大学), 塩尻かおり(龍谷大学), 石崎智美(新潟大学)
*Rintaro KAWAUCHI(Niigata Univ.), Haruhiko FUNAKUBO(MIKURI Co.,Ltd.), Shinya ISHIDA(MIKURI Co.,Ltd.), makoto IGATA(INISHIE Co.,Ltd.), Makoto NISHIKAWA(Ryukoku Univ.), Kaori SHIOJIRI(Ryukoku Univ.), Satomi ISHIZAKI(Niigata Univ.)

植物は植食者から食害を受けると自身の体内で様々な反応を引き起こすと同時に、『VOCs(Volatile organic compounds:揮発性有機化合物)』を放出している。さらに、食害を受けていない周囲の別個体がこのVOCsを受容すると、食害を受けていないにもかかわらず食害を受けた個体のように様々な反応を引き起こす。この現象は植物がVOCsで会話しているように見えることから『植物間コミュニケーション』と呼ばれている。また植物間コミュニケーションは異種由来のVOCsや人工的な傷由来のVOCsでも発生することが知られている。
農業において圃場周辺や圃場内の雑草は作物の生育を阻害し病害虫の温床になるため、取り除くことが必要不可欠である。先行研究(Shiojiri et al. 2021)では圃場周辺に生育する雑草を刈り取り、その際に放出される様々な雑草種のVOCsをイネ(Oryza sativa)に曝露することで意図的に植物間コミュニケーションを発生させる実験を行った。その結果、イネの葉の食害率が減少し、種子数が増加することが示されている。
本研究では雑草VOCsによって発生する植物間コミュニケーションを稲作に導入することを目標に、最も効果のあるVOCsを放出する雑草種を特定することを目的として実証実験を行った。先行研究で使用された雑草VOCsに含まれているヨモギ(Artemisia indica var. maximowiczii)とスギナ(Equisetum arvense)をそれぞれ単体で育苗中のイネに曝露し、無施肥・農薬不使用の水田に移植し栽培した。結果、スギナVOCsを曝露したイネでは総葉数、分げつ数、籾数の増加が見られた。また、成長の増加に伴う負の影響は検出されず籾の食害率に変化はなかった。発表では他の雑草VOCsを曝露した場合や他の計測項目の結果を踏まえた考察を報告する。


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