| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-271  (Poster presentation)

マダガスカル熱帯乾燥林における木本性つる植物の樹皮形質と水利用戦略の関連【A】
Relationships between bark traits and water-use strategies of lianas in a tropical dry forest of Madagascar【A】

*岡本鮎樹(京都大学), 藤本悠太郎(森林総研), 黒川紘子(京都大学), 北島薫(京都大学)
*Ayuki OKAMOTO(Kyoto Univ.), Yutaro FUJIMOTO(FFPRI), Hiroko KUROKAWA(Kyoto Univ.), Kaoru KITAJIMA(Kyoto Univ.)

樹皮は維管束形成層より外側の組織で内樹皮と外樹皮に分類される。外樹皮は樹幹の保護を、内樹皮は光合成産物の輸送や貯蔵および水分貯蔵を担い、木本植物の環境適応に重要な役割を果たす。樹皮の適応的意義の解明のため、世界各地で樹木の樹皮厚や含水率などの樹皮形質に関する研究が行われたが、木本性つる植物に関する知見は乏しい。特に内樹皮は水分貯蔵も行うため、葉のフェノロジーを含む水利用戦略と関連し、種間・種内で変異すると予測される。特に樹木より幹直径が小さく成長や水利用戦略が異なるつる植物では、樹皮形質が樹木と異なる可能性がある。
本研究では、半年以上の乾季を持つマダガスカルの熱帯乾燥林において、優占樹木34種・つる植物20種・合計359個体を対象に、内・外樹皮厚や樹皮含水率など樹皮形質8項目を測定した。本地域では樹木・つる植物ともに、乾季序盤に落葉する早期落葉性・乾季中も暫く葉を維持する順次落葉性・常緑という異なるフェノロジーの種が同所的に存在し、乾季中の水利用戦略の多様性が示唆される。生活型およびフェノロジーの違いが樹皮形質に及ぼす影響を解明することを目的とした。
解析の結果、樹木では幹直径と樹皮厚間に正の相関が見られるが、つる植物では相関が弱く、樹皮厚変異が大きいことが示された。また、小径個体ではつる植物が樹木より厚い内樹皮を持つが、この傾向は幹直径の増加に伴い消失した。フェノロジーとの関係では、樹木において早期落葉性の種が他の種より厚い内樹皮を持つ傾向が見られた。一方、つる植物では内樹皮厚にフェノロジー間差はなく、常緑種が厚い外樹皮を持つ傾向のみが確認された。さらに、樹木・つる植物ともに、早期落葉性の種は内樹皮含水率が有意に高かった。これらの結果は、樹皮が生活型およびフェノロジーに応じて異なる適応的役割を果たす可能性や、つる植物と樹木は部分的に異なる水利用戦略を持つ可能性を示唆する。


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