| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-278 (Poster presentation)
Angelica acutiloba(トウキ)は根を生薬「当帰」として利用される重要な薬用植物であるが、国内流通量の約76%を中国からの輸入に依存しており、安定供給のためには国内生産の拡大が喫緊の課題である。生薬原料作物では収量のみならず薬効成分含量やその安定性が品質評価に直結するため、土壌の肥沃度管理が重要となる。しかし、ヤマトトウキの施肥基準は統一されておらず、特にカリウムおよびリン施肥の体系的評価の知見が充分ではない。本研究では、カリウムおよびリンの施肥量(0、50、100、200 kg/ha)が根径、乾重量、主要有効成分含量に及ぼす影響を検討した。2年目の幼苗を温室で2024年4月から8ヶ月間栽培し、根を収穫、乾燥・粉砕後、メタノール抽出して、HPLCを用いて薬効成分の分析を行った。薬効成分についてはフタライド類であるリグスチリドおよびブチリデンフタリド、ならびにフロクマリン類であるメトキサレン、プソラレン、ベルガプテンの計5成分を対象として、外部標準法による定量分析を行った。結果、カリウム施肥では100 kgK/ha付近で乾重量がピークとなり、それ以上では減少傾向を示し、過剰施肥の抑制効果が示唆された。リグスチリド含量は50 kgK/haで飽和した。一方、リン施肥は100–200 kgP/haで根径および乾重量を有意に増加させ、リグスチリド含量も施肥量に比例して増加した。以上より、カリウムは50–100 kgK/ha、リンは100–200 kgP/haが形態成長および主要薬効成分蓄積の観点から適切である可能性が示唆された。