| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-282 (Poster presentation)
鉱山跡地の土壌は高濃度の重金属を含有しており、そこに生育する植物は何らかの重金属耐性を有すると考えられる。本研究の対象植物であるヘビノネゴザ(Athyrium yokoscense)は鉱山跡地に自生しており、何らかの重金属耐性を有していると考えられた。また、植物の根に生息する内生菌は重金属ストレス下において植物の重金属耐性を増強させることが報告されている。既往報告において本植物の重金属耐性に関する研究が行われているが、本植物と内生菌の関係については未解明な部分が多い。そこで、本研究では高濃度の重金属が存在する環境で自生するヘビノネゴザを対象とし、内生菌の関与を考慮した重金属耐性機構の解明を目的とした。各種分析の結果、本植物は細根に金属元素を蓄積しており、特にPbを高濃度に蓄積することが確認された。細根においてはcatechin類縁体、procyanidin B2及びcondensed tanninの産生が確認され、これらの化合物が重金属毒性の軽減に寄与すると考えられた。細根から高頻度に分離された内生菌であるPhialocephala fortiniiは、Pb解毒物質産生能を有することが確認され、本植物の重金属耐性に寄与すると考えられた。以上より、ヘビノネゴザの重金属耐性機構として、1)植物自身が産生する金属元素の解毒に関与する化合物の産生、及び2)P. fortiniiによる重金属耐性の増強が考えられた。現在、P. fortiniiがヘビノネゴザの重金属耐性に与える影響を明らかにするために、本植物のカルスから無菌の幼植物体を作製し現地土壌を用いたP. fortiniiの接種試験を実施しており、本発表で考察予定である。