| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-285  (Poster presentation)

競争種の存在下で自殖回避のための部分開花は進化しうるのか:シミュレーション解析【A】
Does a partial floral display to avoid selfing evolve in the presence of another competing species? : A simulation analysis【A】

*長南虎ノ介, 酒井聡樹(東北大学)
*Toranosuke CHONAN, Satoki SAKAI(Tohoku Univ.)

複数の花を持つ植物は、開花数の決定において、訪花者誘引と自殖に関わるジレンマを抱えている。同時開花数を大きくすれば、訪花者を効率的に誘引することができる。しかし、同時開花数を大きくすれば、訪花者の個体内訪花も増え、自殖率が高まってしまう。ゆえにその開花数は、総花数と1花の間の中間的な値を取ると考えられる。しかし、この中間的な同時開花数は、複数種が訪花者をめぐって競争を行う場合には本当に進化しうるのだろうか。
 そこで本研究では、1種のみが生育する場合と2種の競争下、それぞれ個体間で開花開始時期が変動する場合としない場合の4つの条件下での開花形質の進化を、シミュレーションを用いて比較した。
 結果、開花開始時期の変動がない場合は、1種のみが生育する場合では同時開花数は中間的な値で安定し、2種共存環境では同時開花数の大きい種と小さい種に分かれる傾向が見られた。また、2種共存環境での平均開花数は、訪花者存在期間の長さに応じて変化する様子が見られた。開花時期の変動がある場合は、1種のみが生育する場合、2種が共存する場合の両方で同時開花数が最大に近い値をとっていた。また、訪花者が長く存在する場合に、開花開始時期が遅くなる傾向が見られた。これは、開花開始時期が訪花者存在期間内で分散したために見られた傾向だと考えられる。
 以上の結果は、植物個体の開花開始タイミングに制約がある場合に、部分的な開花の進化が起こり得る可能性を示している。


日本生態学会