| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-296  (Poster presentation)

雑草のVOCsがトマトの食害抵抗性と成長に与える影響【A】
The effect of weed VOCs on tomato resistance to herbivory and growth.【A】

*渡辺春菜, 石崎智美, 塩田桃子(新潟大学)
*Haruna WATANABE, Satomi ISHIZAKI, Momoko SHIODA(Niigata Univ.)

 植物が食害を受けた際に放出する匂い(Volatile organic compounds: VOCs)を周囲の健全な植物が受容すると、被害を実際に受けていないにも関わらず抵抗性が誘導され、食害量が低下したり、成長や収量に影響がでたりすることがある。先行研究ではイネやトウモロコシに傷ついた雑草の匂いを暴露することで食害が減少することが示されている(Shiojiri et al. 2021、Sakurai et al. 2023)。また、トマトでは同種やバジルの匂いにさらされることで食害への抵抗性が上がることが示されている(Yoshida et al. 2024)。
 農業において、作物の成長を阻害する雑草の除草作業は不可欠であり、作物に対する雑草の匂いの影響が解明されれば刈り取った雑草を有効利用できる。そこで本研究では、トマト栽培において雑草の匂いを有効利用できるのか、また、雑草の種類ごとに効果に違いが見られるかを明らかにすることを目的として、生育初期に雑草の匂いに暴露をしたトマトを栽培し、食害や成長への影響を観察した。
 その結果、セイタカアワダチソウの匂いを暴露したことで、野外での食害量の減少が見られた。また、セイタカアワダチソウ、ドクダミ、ミントの匂いを暴露した個体で、暴露後の一時的な成長量の抑制が見られた。食害量の減少から、トマトが雑草の匂いを利用して抵抗性を誘導していることが考えられる。また、暴露後の成長量の抑制から、トマトが成長よりも抵抗性の誘導にリソースを割り振った、もしくは匂い成分にトマトの成長を阻害する効果があったことが示唆された。


日本生態学会