| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-306  (Poster presentation)

送粉昆虫モニタリングの手法間比較:同定精度及び記録訪花頻度に注目して【A】
Comparison of Pollinator Monitoring among Multiple Methods: Focusing on Identification Accuracy and Recorded Visitation Frequency【A】

*長濱永実(神戸大学), 平山楽(神戸大学), 吉原知哉(神戸大学), 武田和也(山梨県富士山研), 源利文(神戸大学), 丑丸敦史(神戸大学)
*Eimi NAGAHAMA(Kobe Univ.), Gaku HIRAYAMA(Kobe Univ.), Tomoya YOSHIHARA(Kobe Univ.), Kazuya TAKEDA(MFRI), Toshifumi MINAMOTO(Kobe Univ.), Atushi USHIMARU(Kobe Univ.)

被子植物と送粉者の相互作用は、基礎的な送粉生態学の研究や栽培植物への送粉サービスの研究において重要な研究対象となっている。これまで、花における送粉者相の記述には、直接観察法、タイムラプスカメラ撮影法、デジタルビデオカメラ録画法などが用いられてきた。各記述手法にはそれぞれ異なる特徴があると考えられ、その長所および短所の総括は、研究内容に応じた適切な手法の選択のために不可欠である。
本研究では、5種の花を対象とし、同じタイミングで上記の3種類の方法を用いて、送粉者の訪花記録を行った。記録結果から、種同定精度や記録された単位時間当たりの訪花数(以下、記録訪花頻度)を算出し、各手法間の比較を行った。
その結果、種同定精度は直接観察法、タイムラプスカメラ撮影法、デジタルビデオカメラ録画法の順で有意に高く、記録訪花頻度はデジタルビデオカメラ録画法、直接観察、タイムラプスカメラ撮影法の順で有意に高かった。昆虫の種同定は、翅脈や模様などの細かい形態をもとに行われるため、昆虫を捕獲して後に顕微鏡下で観察する直接観察法では種同定精度が高く、撮影映像に同定に必要な情報が含まれないことが多いタイムラプスカメラやカメラの解像度が限られているデジタルビデオカメラでは種同定制度が低くなったと考えられる。また、デジタルビデオカメラは3手法の中で唯一連続した記録を行え、同時に複数個体の訪花があったときにもほぼ全ての訪花を記録でき、正確な訪花数を記録できる一方で、他の2手法では、複数訪花の記述が困難な場合があったり、撮影できない訪花があったりという理由で、訪花数を過小評価してしまったと考えられる。発表では、これらの結果をもとに、各手法の長所・短所を考慮して、それぞれの適した研究分野について議論する。


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